今回は、キャリコンプレスの記事や、スターターキットの作成にもご協力いただいております、中部キャリアコンサルティング普及協会の中村 英泰さんより、コラムをいただきましたので、掲載させていただきたいと思います。
キャリア的視点を持って職業に就くことで、個人の内面には“経験と言うカタチ”で意味や価値が醸成され積みあがります。
一方で、キャリア的視点を持たずに職業に就くと、それは単なる時間の経過(従業)となり、自覚の上で個人の内面に醸成されるものはありません。
そうして働き続けた結果は明白で、前者は「展職※1の末、自らの職業人生を“良いもの”として肯定的に捉える。」
一方で、後者は「転職の末、自らの職業人生を“薄い紙切れ”として否定的に捉える。」ようになります。
その違いは、ただ1つ”キャリア的視点の有無”なのです。
―キャリア的視点とは、「肯定的で有用な自己を創造しようとする主体的意志を基に描かれた”なりたい自分”に向けた過程を考えられる」能力のことです。
キャリア的視点を持たずに職業に就くとは
まず、単なる時間の経過(従業)で職業人生が経年すると、多くの場合、職業上の自己を他者や環境と対比することでしか成立できなくなります。
例えば、「常に、上司や同僚など他者批判する」「常に、環境や置かれている境遇を批判する」などがその例にあげられます。
そこには、“経験=経年と共に積みあがる成果”を自覚することができず、本来なら“経験を積んで、なりたい自分に近づけたはず…”と言う後悔が、「職業上の自己に対する強固な自己否定感」を形成し、全ての行動の原点に「“薄い紙切れ”の様な自分が露呈し否定されない」ためのモデルがセットされることに起因します。
キャリア的視点を身に着けるには
では、そうならないためにも「どうしたら、キャリア的視点を身に付けることができるのか?」
最初に、キャリア的視点と「業界や職種、企業規模や福利厚生の充実といった所属している会社の環境、また最終学歴や雇用形態」は、全く関係がありません。
だから、環境を変えるための転職や配置転換は必要ありません。
重要なのは、人が生まれながらにして持っている「成長したいという欲求」が、自己にも内在することをできるだけ正確に認識することです。
続いて、そうした「成長したいという欲求」が、どこから発され、どこへ向かおうとしているのか、整理して行くことが必要となります。
このように言葉で示すとシンプルですが、実践することは簡単ではありません。
キャリアコンサルタントとの相談のプロセスを経て1つ1つ進めて行くことが必要です。
そうすることで、キャリア的視点「肯定的で有用な自己を創造しようとする主体的意志を基に描かれた”なりたい自分”に向けた過程を考えられる」能力は備わって行きます。
最後に、「思い立ったが吉日」と言うように、キャリア的視点に興味を持ち、自らの職業人生、さらにはキャリアが今後どうなって行くのか思い至ったとなれば、今日が分かれ目、取り組み始めるには良いもしれません。
※1 キャリア構築の方法として、転職は、仕事/会社が変わる度に資産形成がリセットされ、徐々に行き詰まる。
一方、展職は仕事/会社が変わる度に資産形成が行われ、将来の専門分野へ展開して行くことができる。
背景にはキャリア的視点の有無が大きなウェイトを占めている。
キャリアコンサルタント 中村 英泰
・Webサイト:http://chubu-career.co.jp/
・Facebookページ:https://www.facebook.com/hideyasu.nakamura
コラム著者
中村 英泰
トークイベントアーカイブ
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