今回は、獣医師として20年近いご経験を持ち、現在はキャリアコンサルタント(以下、キャリコン)として独立し活躍しておられる岡野顕子さん(Veterinary Career Lab SMILE)にお話を伺いました。
動物病院で働く従業員や経営者を支援するトータルアドバイザーになろうと思われた経緯や現在のキャリコンとしての活動内容などについてお話し頂きました。
これまでのキャリアを教えてください。
日本大学農獣医学部(現在の生物資源科学部)獣医学科を卒業したのちは、地元の滋賀県に近い京都の動物総合病院に就職しました。
ちょうど30歳の節目の年に病院の規模が拡大すると同時に副院長に就任しました。
プレイイングマネージャーとして臨床の現場で、社員採用や教育に従事しました。
その後、経営上の理由から42歳の時に院長に就任しましたが1年ほどで院長職から退くことになり、自分の望む仕事がほとんどできなくなり、辛いと感じることもありました。
しかしこれまでの自分のキャリアを見つめ直す転機として前向きに捉え、人生の分岐点となりました。キャリコンという仕事を知ったのもこの時期です。
資格取得後は、フリーランスのキャリコンとして動物病院におけるキャリア支援をスタートさせました。
キャリコンになろうと思われたきっかけを教えてください。
勤務医という立場で院長職に就いた時に、他のスタッフの人生を担う立場になるのだという思いが強くなり、全力で院長職に取り組むという覚悟から、院長を降りたら一般臨床から身を引こうと決めていました。
思ったよりも早く院長職を降りたこともあり(笑)、今後の働き方や自分のキャリアについて考えた結果、自分ができることを強みとして活かし、動物病院のお手伝いがしたいと思いました。
緊急性の高い現場の対応を行いながら、採用や教育といった中長期的な計画を両立させる難しさ、経営者のジレンマや従業員の理解を得る難しさを痛感していたからこそ、何とかしたいと考えたのです。
私が副院長、院長を経験する中で、最も悩んだ「人材育成」や「働く人たちが笑顔で働ける環境づくり」は、キャリコンになればできると知り、取得を決めました。
これまでのキャリコンとしての活動内容を教えてください。
愛知県から関西の動物病院を中心にキャリア支援を行っています。
30人以下の動物病院は総務や人事の機能がない組織がほとんどで、どの様に人事を回していったらよいのか分からないという声を耳にし、そのお手伝いをしています。
具体的には、キャリアカウンセリング、中間管理職へのマネジメント研修やモチベーションアップのための人事評価導入及び運営サポートの他、コミュニケーションや新人フォローアップ研修などを通じてキャリアの視点からのサポートを行なっています。
コロナ禍においては、関東の病院からご依頼も頂き、オンラインでのサポートも行っています。
独立されたきっかけ、又はどのような考えから独立されたのか教えてください。
キャリコンとして中立的な立場で係ることが個々の支援に繋がり、それが病院のためにもなると考えます。
そして以前の職場が動物病院としては規模の大きい病院(従業員数70余名)だったこともあり、組織というものを学びました。
これまで培った人脈や情報収集をもとに動物病院を取り巻く現状をお伝えしつつ、社員定着のためのアドバイス、キャリア支援といった自分のやりたいことを実現するためには、独立することが最も良い方法だと思いました。
また経営コンサルタントとは異なり、獣医師の経験があるフリーランスのキャリコンだからこそ、動物病院の経営者の方にも比較的受け入れられやすいと感じます。